ユング心理学と『太平記』との再会

体験談

 大学時代に教育心理学の講義を担当されていた先生のご専門がユング心理学でした。子どもの頃に大好きだったグリム童話を例として、これまで聞いたこともなかったような人間の心理のあり方を初めて知りました。何十年も経った今、占いの世界においてユング心理学が自分の前に姿を現しても、理解を進めることができているのは、この講義と先生のおかげであると思っています。

 ユング心理学については、別のところからもアプローチがありました。大学のカウンセラーの先生が開催していた集まりで知り合った男性が、河合隼雄先生の本を読むべきだと、しきりにすすめてきたのです。さらに彼は、タロット・カードの不思議も熱く語っていました。当時の私は、後者に対しては冷めた態度を示していたのですが……。

 そして、当時の大河ドラマでは『太平記』が放映されていて、その頃に大人気だったアイドルが登場していたことなどからも話題となり、私も関連本などを買って読んだりしていました。現在、実家の自分の部屋を断捨離しているのですが、熱心に大学の特別講座を書きとったノートや調べ物で集めた資料類も出てきました。

 残念なことに、当時はこれらの取り組みが何らかの形で実を結ぶことはありませんでした。このブログでも話題としていますが、私が氷河期世代の最初期なので、仕事にならないことやお金にならないこと、認められないことに打ち込むのは〝許されない〟ような重苦しい時代でした。就職して役に立ったのは、心理学ではカウンセラーの先生に教わった対面型の手法でしたし、『太平記』なんて学校の教科書では採用されていないので教えることなどできませんでした。

 研究を続けたくても、取り組みを先生の研究に合わせないといけないことで自我崩壊みたいな状態になりました。その状況は、就職活動においても同様で、やっと就職できた先には、職場の環境に無理して自分を合わせることは当然だったので、長い時間の間にじわじわと身心は痛めつけられていきましたた。

 ところが、二十年以上も続けた学校の教員の仕事を辞めようという思いを抱き始めた頃から、忘れかけていたユング心理学と河合隼雄先生、『太平記』がどういうわけか自分の前に再び姿を現し始めました。
 ※ユング心理学と河合隼雄先生との〝再会〟の具体的なところはこのブログではまだ記していないと思うのです(ところどころで触れている段階です)が、『太平記』については以下で取りあげています。

 自分の実力と時代とが、やっと追いついたといったところでしょうか。これまでの私は、周囲の〝承認〟や大多数の〝評価〟がなければ、何事もできないような不安の中を生きていました。それが当たり前だと信じ込んでいました。しかし、時代は変わったことを実感しています。何十年も前に、生活や就職には〝関係のないもの〟という後ろめたさがありながらも興味を抱いたユング心理学や物語、そしてその少し後に出会った占いまでもが、ひとつながりで理解できるまでの自分と時代になりました(それでも、断然マイノリティですですが……)。

 本記事の冒頭で紹介した大学の先生がおっしゃっていたのか、河合先生のご著書で読んだのかは忘れてしまったのですが、〝グリム童話が精神的な病の治療の助けとなった〟ということをどこかで知った記憶があります。ーーそれも、今ならば理解されてきています。すでにこれまで書いてきた記事の中にもヒントがありますが、それらについても順番に、自分の考えをこちらで伝えていきたいと思います。

 子どもの頃や若い頃に、周囲に与えられたり合わせたりするのではなく熱中したものはありませんか。それらは、あなたをあなた自身に戻してくれる何かである可能性がおおいにあります。時代が変化した今、自分でない自分を強いる環境とマインドを手放してほしいと願うのです。

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