ショートショートSF

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【小説】待ち人来たらず

我々にとって最後の主君が捕らえられた。ーーわかっていた。決められてたことであった。  お支えし続けた我々が、しかし最後は……一族の存続を選択し、沈黙を貫いた。誰も、父祖たちも、そんなことは望んではいなかった。先代も、先々代も、百年以上も我が...
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【小説】時機到来

かつて、多くの本とそれを学ぶ人とが集められたこの地には、小さな博物館が建てられていた。私はたまたま足を運んだそこで、隣接する寺の本尊であったという菩薩像のレプリカを見た。ーーどこかでこの像を見た覚えがあるのだが、果たしてそれが、別の博物館の...