何度も何度も現れ出る似たような人たち①

体験談

 学校の教員としての私が最も長く働いた職場は、時代的なものがあったというだけではなく、ゴリゴリの〝男社会〟でした。〝女性だから許される〟という理屈がほぼ通用しない厳しさがありました。私の他の女性の先生方も、女であることを〝忘れて〟(あるいは〝捨てて〟)、必死で仕事に取り組んでいました。

 噂にだけは聞いていた〝お局〟と思しき存在に遭遇したのは、三つ目の職場でした。すでに社会人になって十五年以上が過ぎていました。しかしながら、そうした〝お局〟の存在する職場には同時に、上の立場にある人間からの〝異常なまでの贔屓〟があって、あきらかに優遇されている女性がいることも、初めて知りました。

 彼女らとのファースト・コンタクトとなった職場では、徹底的に彼女らと対立し、結果、話が通じないという理解に苦しむ事態に陥り、その挙句、上の立場にある人間からはつぶされて孤立するに至りました。それ以外の部分でも超絶ブラックだったそこを辞めた次の職場では、先の職場以上の大物の女性たちが跋扈していました(笑)。先の経験で痛めつけられていた私は、彼女らの傲岸さ、あるいは、背後で庇護する人間たちの存在を確認した瞬間に、反撃も対立も自分を不利にするだけという諦めを抱き、バカのふりをしてやり過ごしていました(……とはいえ、辞めるとわかった最後の年は、最も癇に障った女性は徹底無視しました)。

 そして、学校の現場を離れ、仕事では必要以上に人と接することがほぼなくなりました。ーーところが、ネットを介して知り合った女性たちの中に、これまで以上の破壊力を持つ超大物たちが現れました。

 一人目は、私に対してではないのですが、衝動的・暴力的な感情が抑えられない印象がありました。そして、一回会っただけでお友達と思われたのか、いや、話を聞いてもらえる便利な人とでも思われたのか、自分の衝動や暴力が抑えられないある一件について、チャットで何時間も聞かされました。その間、何度も自殺をほのめかされ、迷惑の域を越えて恐ろしくなりました。あまりのことに三度目は耐えきれず、かかわりを断ちたい旨を理路整然と述べた長文でメッセージを送り返してそれきりになりました。
 今後の対策のためにといろいろ調べてみて、この人は境界性パーソナリティ障害だったのではなのではないかと思いました。

 一人目のことも忘れかけた頃、ネット上のコミュニティ内に二人目が現れました。調子がいいけれども中身がない、SNSがしつこい、過度に自分のしたことに対する賞賛を求めるという傾向がありました。自分の考えが全部正しいと思ってるのか非常に独りよがりで、一人目ほどではないのですが、軽い衝動性と暴力性も見受けられました。必要と思われる局面での謝罪や御礼がまるでないのも、嫌な気分が増していきました。

 また、理由もなく横柄で意地悪でした。周囲に自分の言うことをきく人がだんだん増えてきたタイミングで、ターゲットを見つけて弱い者いじめに近いことをしていることに気づきました。周囲の人たちは、彼女に注意するのすらデメリットがあるようで、一緒になってターゲットを攻撃するようになっていました。さすがにこれはと思い、彼女がこれまで各所で展開してきた論を逆手にとって突き返し、反論を許さなかった(彼女は、かなり口が達者でした)ところ、ターゲットへの攻撃はやみました。それ以降、だんだんと疎遠になって、気づいたら彼女はコミュニティからも姿を消していました。
 二人目とのかかわりは長丁場であったため、お世話になっているヒーラーの方(心理学も学んでいらっしゃいます)にも相談していました。その方からは、彼女は自己愛性パーソナリティ障害ではないかという指摘がありました。

 境界性パーソナリティ障害も、自己愛性パーソナリティ障害も、いずれも初めて聞く用語でした。ネットで検索して得られた情報によると、これらの障害によって自分が悩んでいるという方よりも、悩まされている方の方が多い印象がありましたが、実際はどうなのでしょうか。対策や解決法にもこれというものが得られず、私がとった方法がベストであったのかもいまだわからずにいます。

 何年も経って、少し冷静になり振り返ってみて興味深かったのは、ここで記してきた人たちは皆女性であったことと、自分にとってまるで免疫がなかったような部分を不意打ちされたことでした。それに対して私はと言えば、最初は反撃して失敗し、次は不本意ながらも耐え、最後には一応の解決をみました。ーーその方法は、長いこと〝男社会〟でもまれた中で発見した、〝異常に弁が立つ〟という自身の最大の武器ともいえる能力を使うことでした。

 しかしながら、どこかにしこりは残り、今は、〝ちょっと言いすぎたかも〟〝やりすぎたかも〟と反省し、申し訳なく思う気持ちも生じているのです(その時は、どうにもそうしないと自分がやられる、弱い者いじめなんて最悪、という気持ちしかなかったのですが……)。

 (②につづく)

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